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2014年04月04日

《成功した時こそ終わりを慎む》今週の倫理866号

《成功した時こそ終わりを慎む》
三月のテーマ 謙虚に生きる 今週の倫理866号

日本武尊(ヤマトタケル)の
伝説に、次のようなエピソードがあります。
東の神々を平定するよう命じられた日本武尊は、伊勢に立ち寄り、
叔母ヤマトヒメより神剣「草薙の剣」等を拝受し、遠征に出かけた。
東方の国々の神を平定し、尾張に戻った日本武尊は、己の強さを誇示する。
「伊吹山の神は素手で討ち取る」と草薙の剣を妻に預け、伊吹山に向かった。
ところが道中、毒気にやられ、三重の地にて命を失うこととなる――。
 日本武尊は、神威の象徴である剣を携行して、神の加護を受け東征し、
成果を収めることができました。
しかし、そのことを忘れ、己の力を誇示したい欲望から、
結果として、命を落とすことになりました。
数多くの解釈がある伝説ですが、この話から、
今も昔も人の心は変わらない面があることを教えられます。
私たちは、先祖や両親から徳を受け、周囲から様々な支援をいただいていながら、
成功するとつい自分の力のように勘違いしてしまいます。
感謝の心を忘れ、己の我を通すようになりがちです。
人間力を向上させていく要素はいくつもありますが、
中でも「謙虚さ」は不可欠な態度として挙げられるでしょう。
いかに謙虚な心を保っていけるかは、人間にとって、永遠の課題かもしれません。
*「謙虚」という言葉を辞書で引くと、「控えめでつつましやかなさま。
自分の能力・地位などにおごることなく、素直な態度で人に接するさま」
(『大辞林』)とあります。
また、「謙」という字には、「つつしむ、うやまう」という意があります
(『字通』白川静)。
この「慎む(つつしむ)」ということは、倫理実践の心得でもあります。
倫理運動の創始者・丸山敏雄は、実践における十の要諦として、
その最後に「慎終」を置いています。「終わりを慎む」ことが、
実践の基本であり、成功の要件であるというのです。
物事がうまくいったり、目的や目標を達成すると、
人は得てして気を緩めてしまいがちです。
しかし、本当はまだ完了してはいないのです。
慎終とは、後始末であり、「最後に立派な終止符をポンと打つこと」です。
 整理整頓をする、丁寧に清掃をする、使った道具の手入れをし、機械に油をさす、
パソコンのデータを整理する、会計の収支を明朗にして、反省点があればまとめておく、
お世話になった方へ連絡を兼ねて礼状を書く、挨拶回りをする、
神仏に祈願したなら謹んで奉告する――など、さまざまな後始末があります。
仕事が終わった後、成功した後こそ心を緩めず、感謝を込めて後始末を行ない、
物事にけじめをつけていきましょう。
特に、リーダーから率先垂範して後始末を行なうことから、
職場環境にメリハリが生まれ、次への飛躍へとつながっていくのです。
慎んで終わる「慎終」の実践を積み重ねて、
謙虚な心を日々深めていきたいものです。
posted by いさはやせいかつ   at 13:16 | Comment(0) | 名言・格言
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